朝日新聞 夕刊 2005年7月6日(水)
見てみて関西 うわさのコレクター
世界地図 政治観の数だけ
「世界地図って言われているのは政治地図。それぞれの国の政治観が反映されている」
45力国を巡ったという大阪市の旅行会社会長山田和生さん(51)が世界地図に興味を持った
のは79年。中東レバノンの飛行機の機内誌あった地図をふと見ると、イスラエルは存在せず、パレスチナになっていた。
「日本にある世界地図は日本政府の見方にすぎないんだ」
出かけた国で暇を見つけては街の本屋で買い集めるようになった。インドの地図は、パキスタンと領有権を主張しあうカシミールが自国と同じ色に塗られていた。10年以上前に買った台湾の地図はモンゴルがなかった。知り合いの中国の留学生がそれを見てびっくりしていた。
北朝鮮では、朝鮮半島が「統一」され、オーストラリアでは南北さかさまの地図も。「ま、これはみやげモノです」。北方領土が日本となっている図は中国ぐらいだった。
集めた数は23カ国63枚。えっ行った国の分だけあるのでは?
「第三世界の国など旧宗主国の地図しかなかったりするんです」ボリビアやタンザニアなどは探してもなかった。人々が家で見ることがないためではと、山田さんは分析する。
「でも、日本人だって白紙に世界地図をまともに描ける人はめったにいない。その程度の世界観ですよ。」(森 治文)「世界地図がほしいというと、よくけげんな顔をされる」と山田さん=大阪市で